プロフィール

運はみんなに平等

Author:運はみんなに平等
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

早期退職を考える人たちへ
早期退職が盛んな日本の製造業。去るか、残るか悩んでいる人たちへの参考として私の経験を伝えます。 左下「カテゴリ」を目次代わりにしています。
引き手金具職人の仕事場②
 色づけに用いられる技法は「煮色着色」と呼ばれるものです。これは
金属表面に化学変化による酸化膜を生じさせて発色させるものです。身
近な例ではヤカンやなべのアルマイトがあります。

銅製のなべで硫化カリウムと緑青を加えた湯(硫酸銅の水溶液に緑青を
加えたもの)で煮て色をだしてゆきます。硫化カリウムはちょうど硫黄
の温泉と同じ匂いがします。箱根大涌谷や草津温泉のあの匂いです。

発色は化学反応なので、温度、時間、濃度や表面の細かな凹凸つまり磨
き具合で変わってきます。同じ材料で同じ様に作ったつもりでも、最後
の朴の炭での磨きが一様でないと同じ色を出すことができません。磨き
に斑があると、そのまま色むらになってしまいます。

第四関門は色合わせです。材料をよく水で洗い、これをなべの中に吊る
します。頃合を見計らって引き上げすぐ水に漬けてから引き上げて色合
いを確認します。この作業を繰り返しながら色合いを合わせてゆきます。
私には判りませんが微妙な色合わせが行われているのだと思います。も
ちろん今時の色差計などは使いません。目で見てあわせこんでゆきます。
もともと絵の具やインキでは表現できない金属の色を変化させ、合わせ
てゆくわけです。

この酸化膜による色は用いる材料によって異なります。引き手金具に用
いる材料は求める仕上がり色により様々な合金が用いられています。主
に使用されるのは真鍮で、銅と亜鉛の合金です。渋い黄土色に仕上がり
ます。銅と金の合金、赤銅の場合は紫がかった黒に、銅と銀の合金、四
分一(しぶいち)では渋い灰色に仕上がります。この他に銅や銀、洋白
など求める仕上がり色に合わせて使い分けます。

私が体験させていただいた色だしは、ぬるま湯に硫化カリウムを溶かし
そこに漬け込むという簡易的なものでした。銅の色が見る見るうちに黒
く変化してゆきます。用いた材料は赤銅だったのでしょう。型で成型し
ただけのもので、磨きなどは行っていなかったため仕上がりは残念なが
らムラムラでした。また材料の帯を輪にする際に銀でロウ付けした部分
は同じ色になりません。これを引き手のどの部分に持ってくるかも腕の
うちのように思います。

色が出たらきれいに水であらい手ぬぐいで拭き取ります。タオルでなく、
この手ぬぐいを使うところがいいです。そしてさっと火にかざして乾か
します。枠と底の着色が終わったら、最後の組み立てです。

底板は糸鋸で切り出して作ります。枠の底側を叩き出して形作った爪の
位置に合わせ、底の板に切り欠きを作ります。鑢で削って作ります。枠
と底を合わせ、爪の部分を叩いてカシメて完成です。

ここでもうひとつ大切なことがあります。枠と底板の隙間です。枠を叩
いて成型するとき底板と合わさる部分が波打ったりしては組み立てた時
隙間ができてしまいます。縁を叩きだす技、そして底に当たる部分を平
坦に鑢で仕上げる技、いくつか鍵となりそうな作業を「関門」としてご
紹介しましたが、実は手を抜ける工程は一つもないです。

仕上げに樹脂塗料を塗って表面の保護が行われます。

引き手金具に用いられる技法は、堀口さんが扱う「折縁(おりぶち)」
の他、彫金、七宝、漆、箔貼り、蒔絵とじつに様々です。要は引き戸を
開け閉めする際に指がかかればいいだけのものにこれだけの技法、技術
がつぎ込まれている。すばらしいです。今年は伊勢神宮の遷宮の歳です。
宮大工さんらは辛うじて20年周期で継承できていますが、今回拝見さ
せて頂いた職人さんらは皆個人の力だけで技術を支えています。

昨年訪問した職人さんは以上です。回れば回っただけ、もっと回ってみ
たくなります。これからもあるだけの時間を使って散歩してみようと思
っています。皆さんもいかがですか。

関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバック URL
http://soukitaishoku1210.blog.fc2.com/tb.php/25-44914b9c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)