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早期退職を考える人たちへ
早期退職が盛んな日本の製造業。去るか、残るか悩んでいる人たちへの参考として私の経験を伝えます。 左下「カテゴリ」を目次代わりにしています。
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やっぱり気になる今の状況
 退職して三ヶ月が経過しました。企業年金もすべて清算して会社とは
一切の関係を解消したつもりでした。しかしこのブログは現在も在職し
ながら様々思いを巡らしている知人、友人たちに宛てたものです。金銭
的には切れていますが、人のつながりは積極的に維持したいという気持
ちがブログを書く動機になっていたことは間違いありません。

ブログを読んだ友人たち何人からか「気持ちが整理できた」とか「自分
も同じことを考えていたようだ」などと連絡をもらい、多少でも役立っ
たのかととてもうれしく思っています。

私の退職時にすでにスタートしていた2013年3月末での早期退職プログ
ラムの応募期限はたしか1月末でした。そしてソニーが行う2012年度第3
四半期の業績発表は2月7日に予定されています。第2四半期での発表で
はグループ通期の黒字200億円を据え置いていました。

エレキだけの会社ではありませんが、売り上げの2/3程を占めるエレキ
の業績が最も気になります。そしてそのピークが第3四半期です。ここ
で決着がつきます。

会社が黒字であれば少しは安心できますが、今期も赤字という見込みに
なれば、自助努力での回復が望めない、第三者による外科手術を受けざ
るを得ないのではないでしょうか。建てたばかりの大崎のビル売却の話
もありました。リチウム電池事業売却の話も出ています。でも切り売り
で健康を取り戻すことはできません。やはり新たに活力を生み出す源泉
が必要です。

サムスンが桁違いの好業績を発表しました。売上16兆円、営業利益2.3
兆円というものです。収益の牽引者はスマートフォンとみられています。
一方、日本電子工業会(JEITA)が発表した液晶テレビの国内出荷台数は
昨年比67.5%減、ブルーレイレコーダは56%減、民生機器の総額でも43
%減でした。売れていません。

スマートフォンはIT家電のエースではなくジョーカーです。時々の用途
に応じ、どんな機器にでも変身可能なワイルドカードです。これを超え
る商品がなければ縮小は避けられません。急速にシュリンクしてゆきま
す。レコードがCDになったように。フィルムがデジカメになったように。
あっという間にすべてが塗り替えられてゆくでしょう。

会社を生かそうとする人、自分はどう生きようかと考える人、ぜひぜひ
後悔のないようすべてを前向きに考えて決断してください。

会社を外から見るようになって、また様々な思いが込み上げてきます。
自由闊達だった頃から現在まで。あのときあんなことがあって曲がった
んじゃないだろうかなど。またすこしづつまとめて行こうと思います。

追伸:現在行っている早期退職の応募期限は2月末だそうです。すこし
   安心しました。


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職人さんは一匹狼じゃなかった
 堀口さんが製作した引き手はそれ自体で用を成すものではありません。
襖、引き戸に据えられてはじめて生きるものです。そこには襖紙の職人
さん、襖の枠の職人さん、枠に紙を張り込む職人さんなどの手を経て生
かされています。職人さんたちは互いにチームを形作って仕事を完成さ
せているということに、なんと今頃気づかされました。

職人さんは一匹狼ではありませんでした。実にきめ細かく連携した職人
ネットワークの中で、他の人にはまねのできない専門分野を担っている
「要素」でした。

会社にいると『俺はなにも手に職がないから会社辞められない。手に職
をつけなくちゃなあ』などという台詞もよく耳にしました。手に職がな
いから会社の中でなくちゃ生きられない。手に職があれば一人でやって
ゆける。そういったニュアンスに聞こえる言葉で、いままで違和感なく
聞いていました。でもそれは全くの誤りでした。

手に職をもち自立することが如何に厳しい世界に生きることか。サラリ
ーマンとはまるで世界が違います。教えられた芸を披露する程度では何
ひとつ仕事はさせてもらえません。

靴職人の末光さんにしてもしかり。引き手金具職人の堀口さんにしても
しかりです。判りやすい引き手金具を例にとってみます。訪問して様々
教えていただいたことですが、堀口さんが一つの引き手金具を製作する
過程には夥しい職人さんらが関わっています。その最たるものは鑢職人
の深沢さんです。タガネを使って注文通りの鑢を作ります。引き手金具
の仕上がりはこの鑢に負うところが大きいことはご紹介した通りです。

さらに引き手金具の装飾には煮色染色以外にも漆や箔、蒔絵、七宝など
が用いられますが、これらもその専門の職人さんらが請け負っています。
そして出来上がった金具を収める襖にあっては襖紙の絵柄の染色用型を
作る職人さん「型付師」。この型染めに用いる型は和紙に柿渋を染み込
ませた渋紙というものを切り抜いて、色数に合わせ何版も用いられます。
この染色用型紙自体を作る職人さんもいるわけです。襖の骨組みを作る
職人「骨屋」さん。襖の縁に漆を塗る「塗師(とし)」職人さんらの仕事
があって、初めて堀口さんの引き手金具を収める場所ができるわけです。

その襖をしつらえる和室に思いを馳せると、どうでしょう。一体何人の
職人さんらが総出で、よってたかって仕事をしているのかということが
判ります。

手に職をつけて仕事をするということは、プロとして大きく重厚なシン
ジケートの一員として他を寄せ付けない仕事を担うということの様です。
サラリーマンがちょっとのことで身につけられる「手に職」とは大きく
異なるものであることは間違いありません。

プロとして仕事をするにはチームを組むプロ達に認めてもらう必要があ
ります。組織が面倒で独り立ちしよう、手に職をつけようと考えている
のであれば早めにプロの職場を訪問し、考えの誤りを正したほうがよさ
そうです。その上で今いる職人さんらに無いものを生み出せると思える
のであればそれはまた新たなジャンルのプロフェッショナルの創造です。
こう考えればいい目標にできそうです。

そのためにも自立を目指すなら、まずプロの職場を訪問しましょう。


引き手金具職人の仕事場②
 色づけに用いられる技法は「煮色着色」と呼ばれるものです。これは
金属表面に化学変化による酸化膜を生じさせて発色させるものです。身
近な例ではヤカンやなべのアルマイトがあります。

銅製のなべで硫化カリウムと緑青を加えた湯(硫酸銅の水溶液に緑青を
加えたもの)で煮て色をだしてゆきます。硫化カリウムはちょうど硫黄
の温泉と同じ匂いがします。箱根大涌谷や草津温泉のあの匂いです。

発色は化学反応なので、温度、時間、濃度や表面の細かな凹凸つまり磨
き具合で変わってきます。同じ材料で同じ様に作ったつもりでも、最後
の朴の炭での磨きが一様でないと同じ色を出すことができません。磨き
に斑があると、そのまま色むらになってしまいます。

第四関門は色合わせです。材料をよく水で洗い、これをなべの中に吊る
します。頃合を見計らって引き上げすぐ水に漬けてから引き上げて色合
いを確認します。この作業を繰り返しながら色合いを合わせてゆきます。
私には判りませんが微妙な色合わせが行われているのだと思います。も
ちろん今時の色差計などは使いません。目で見てあわせこんでゆきます。
もともと絵の具やインキでは表現できない金属の色を変化させ、合わせ
てゆくわけです。

この酸化膜による色は用いる材料によって異なります。引き手金具に用
いる材料は求める仕上がり色により様々な合金が用いられています。主
に使用されるのは真鍮で、銅と亜鉛の合金です。渋い黄土色に仕上がり
ます。銅と金の合金、赤銅の場合は紫がかった黒に、銅と銀の合金、四
分一(しぶいち)では渋い灰色に仕上がります。この他に銅や銀、洋白
など求める仕上がり色に合わせて使い分けます。

私が体験させていただいた色だしは、ぬるま湯に硫化カリウムを溶かし
そこに漬け込むという簡易的なものでした。銅の色が見る見るうちに黒
く変化してゆきます。用いた材料は赤銅だったのでしょう。型で成型し
ただけのもので、磨きなどは行っていなかったため仕上がりは残念なが
らムラムラでした。また材料の帯を輪にする際に銀でロウ付けした部分
は同じ色になりません。これを引き手のどの部分に持ってくるかも腕の
うちのように思います。

色が出たらきれいに水であらい手ぬぐいで拭き取ります。タオルでなく、
この手ぬぐいを使うところがいいです。そしてさっと火にかざして乾か
します。枠と底の着色が終わったら、最後の組み立てです。

底板は糸鋸で切り出して作ります。枠の底側を叩き出して形作った爪の
位置に合わせ、底の板に切り欠きを作ります。鑢で削って作ります。枠
と底を合わせ、爪の部分を叩いてカシメて完成です。

ここでもうひとつ大切なことがあります。枠と底板の隙間です。枠を叩
いて成型するとき底板と合わさる部分が波打ったりしては組み立てた時
隙間ができてしまいます。縁を叩きだす技、そして底に当たる部分を平
坦に鑢で仕上げる技、いくつか鍵となりそうな作業を「関門」としてご
紹介しましたが、実は手を抜ける工程は一つもないです。

仕上げに樹脂塗料を塗って表面の保護が行われます。

引き手金具に用いられる技法は、堀口さんが扱う「折縁(おりぶち)」
の他、彫金、七宝、漆、箔貼り、蒔絵とじつに様々です。要は引き戸を
開け閉めする際に指がかかればいいだけのものにこれだけの技法、技術
がつぎ込まれている。すばらしいです。今年は伊勢神宮の遷宮の歳です。
宮大工さんらは辛うじて20年周期で継承できていますが、今回拝見さ
せて頂いた職人さんらは皆個人の力だけで技術を支えています。

昨年訪問した職人さんは以上です。回れば回っただけ、もっと回ってみ
たくなります。これからもあるだけの時間を使って散歩してみようと思
っています。皆さんもいかがですか。


引き手金具職人の仕事場①
 職人さん訪問記の二回目は、襖や引き戸に使われている「引き手金具」
の職人さん、堀内宏さんの仕事場です。和室が少なくなり引き手金具を
目にする機会も減ってきていると思いますが、引き合いに出すのも申し
わけないですが居酒屋の座敷の引き戸や旅館などに行った際にお世話に
なっています。

堀内さんが扱っている「引き手金具」はこれらとはまるで別物、別格で
す。十年ほど前に建て直された奈良、薬師寺の襖引き手。まもなく落成
する新歌舞伎座の貴賓室の引き手などはいずれも堀口さんの作品だそう
です。見学の記念にと薬師寺用に製作された引き手のミニチュア版をお
土産に頂いてしまいました。もちろんこれも堀口さんの手作り品です。

まず驚いたのはこの引き手には「大、中、小」の3つのサイズがあると
いうことでした。職場に行くと周囲の壁に様々な作品や引き手、取っ手
が展示されています。もちろん私のような見学者向けに準備されている
ものですが、あまりにも様々な形、様々な手法が用いられているという
ことに驚かされます。話を聞き始める前から質問攻めにしてしまいまし
た。

引き手には「大、中、小」があるのは、襖は大、天井と鴨居(襖の上の
梁)の間に設けられた天袋に用いるのが中、書院造りに代表される違い
棚の下などに設けられる地袋に用いるのが小だそうです。同じデザイン
で3種類の大きさが用意されてます。

成形に用いられる技法は実に様々ありましたが、堀口さんが行っている
のは「折縁(おりぶち)」と呼ばれる手法でした。材料は主に厚さ0.8
mm真鍮が用いられています。

まず型を用意します。厚さ10mm程の鉄の型です。ちょうど一枚の厚い板
から引き手の形を糸鋸で切り出したように雄、雌の組み合わせになって
いて、その隙間がちょうど材料の厚さ0.8mmになっています。雄型と雌
型の合わせには傾斜が設けられていて、嵌め合わせや、型からの取り出
しに配慮してあります。また雌型の外形はくり抜かれた穴より一回り大
きな形をしており、変形したドーナツになっています。このドーナツの
幅が引き手の縁(フランジ部)の幅になる訳です。

材料を雄型の外周と同じ長さの短冊に切ります。短冊の幅は型の厚さよ
り5mmほど広くしてあります。これは後で引き手の縁周りになる部分で
す。短冊の両端を銀でロウ付けし、輪にします。これを雄型の外側に木
槌で叩きながら嵌めこんでゆきます。そしてさらに雌型に嵌めこみます。
その上で型の厚さからはみ出した部分を外側に広げ、縁にします。

縁付きの枠形状ができたら型から外します。まず雄型を裏から叩いて抜
き、その雄型を使ってこんどは材料を雌型から型から外します。そして
取り出した枠の底の側になる部分を数箇所叩いて、底板を取り付ける為
の爪を作ります。これで引き手の枠が形づくられました。

ロウ付けされた短冊の輪と雄型の周囲の寸法をぴったりあわせることは
まず無理です。そこで短冊側をわずかに短くし、雄型に嵌める際の叩き
具合で素材を微妙に伸ばしながら密着させているように思えます。雄型
と材料の間に隙間ができてしまっては、こんどは雌型に嵌めることがで
きません。微妙な力加減で材料を変形させ型に嵌め込んでゆく。ここが
第一関門です。

第二関門は鑢がけです。様々な目の鑢を使って形と表面を整えてゆきま
す。折り曲げた縁の内側の角は直角になっておらず丸みをもっています。
鑢で素材を削りこみ直角にすることでキレのある形になってゆきます。
これは丁度アップルのiMacが採用しているデザインと共通するものがあ
ります。ひょっとすると堀口さんの引き手がヒントになっているのかも
しれません。

鑢がけ後、鑢目を消すためにキサゲで表面を削いでゆき、さらに朴でで
きた炭で磨き込んでゆきます。この磨き次第で仕上がりの表情が決まり
ます。普通の楢や樫の炭では硬すぎて傷が残ってしまうのだそうです。
丹念に、斑なく。根気のいる作業です。これが第三関門でしょう。

次は色づけですが、これはまた次回ご紹介します。




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