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早期退職を考える人たちへ
早期退職が盛んな日本の製造業。去るか、残るか悩んでいる人たちへの参考として私の経験を伝えます。 左下「カテゴリ」を目次代わりにしています。
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ソニーのリストラ
 会社はご存知のように今、非常に危険な状況にあります。私が応募し
た早期退職プログラムが終了する10月31日を前に、更なる2000人の人員
削減策が発表されました。このプログラムでの退職期限は来年の3月末日
です。ソニーに限らず、パナソニックでも、シャープでも、またルネサ
スのような半導体メーカーでも早期退職の募集を開始したと報道されて
います。シャープの募集ではあっという間に予定枠を超えてしまい応募
締め切りを急遽前倒ししました。

そもそもソニーが実施した最初の早期退職プログラムは1997年で、退職
日は1998年3月31日付けでした。この時の早期退職金は24ヶ月だったと
記憶しています。その後ITバブルが崩壊し会社も様子がおかしくなり始め
ました。2004年には創立60周年となる2006年を健全な状態で迎えるため
「TR60」と称した大規模なリストラが実施されました。

この時の早期退職金はなんと最高5400万円です。統括部長クラスの人が
辞めると、自身の持つ退職金や退職時のボーナスと合わせて1億円近く
になった人もいるでしょう。これほどまでして人員削減したかったのか
と驚きます。

会社が抱える固定費の最大のものは人件費です。売上げが減り損益分岐
点(BEP)を下回ることで赤字が生まれます。今後も売上げに期待が持
てないため、固定費を下げて黒字化を図ろうとする。つまり社員数を減
らせばいいということになります。

余談ですが当時私が御殿山の本社から品川テクノロジーセンターまで時
間に追われタクシーで移動した際のことです。タクシーの運転手さんか
らこんな話を聞かされました。
『ソニーさんの方ですか。今回は大分奮発したそうですね。聞きました
よ。私の飲み友達がソニーさんにいて、大金もらって辞めたんですがね。
飲み屋のフィリピンの21歳の女の子と結婚してフィリピンに行っちゃっ
たんですよ。フィリピンパブだったんで。すごいやつがいますねえ。』

退職した人は54歳独身の方でした。年金返上前のことで、彼は60歳まで
フィリピンで豪華な生活をし、60歳で帰国してからは十分な年金で楽勝
な生活をデザインしたという豪傑です。後日談ではフィリピンの親族に
むしりとられて帰国したそうです。出張先のメーカーの社長さんから聞
かされた話ですが、現地で結ばれた赴任者の十中八九はこの結末に辿り
着くそうです。注意が必要です。


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ソニーの従業員数
ソニーのリストラはその後も断続的に繰り返されるようになりました。
組織単位での早期退職者募集です。今回私が応募したのもホームエレク
トロニクス本部が実施したプログラムです。現在進んでいるのは全社の
間接部門を対象にしたものと聞いています。しかしいつの募集でも先程
のキャリア開発部門はデフォルトで対象になっていました。

ソニーは4期連続の赤字を続けています。昨年度の赤字額は4567億円で
した。エレキ部門は営業赤字を計上しています。売上げも円安が進んだ
2007年度の8兆8700億円をピークに前年割れを続け、2011年度は6.5兆円
と2兆円以上も減少してしまいました。

大リストラを断行した2004年、16万2000人いた従業員を15万1000人まで
減らしています。これは当時の会長出井伸之氏が発表した1万人の削減
が宣言とおり実行されたことによります。ところがその後も断続的なリ
ストラを続けているにも拘わらずグループの従業員数はなんと増えてい
ます。2008年には18万人まで膨れ、2011年度末でも16万2700人です。仕
事のリストラを行わず、人員の削減だけを実施されてしまったため困っ
た現場は中途採用を活発化させました。仕事に精通したベテランたちを
吐き出し、年若な人たちを雇ったわけです。

売上げのピークを記録したのが2007年です。このときの従業員数は16万
3000人でした。それからというもの売り上げは毎年下落を続けているの
に人数は2007年度を下まわることはありませんでした。もし2007年度を
基準と考えるとひとりあたりの売上げは5400万円です。2011年度の6.5
兆円で抱えられる従業員数を求めると11万9000人とはじき出されます。
ちょっと乱暴は計算ではありますが今の従業員数が売上げと不釣合いな
ことは一目瞭然です。それも4~5万人のレベルで過剰と言えるでしょう。

エレキの商品は価格の低下が異常に早くなり採算性は急降下しています。
そのことからも現在の「従業員過剰状態」が如何に危機的か理解できる
と思います。


デジタルAVの苦境
 ソニーに限らず、パナソニックもシャープも大変な苦境に追い込まれ
ています。最近話題に上がるAV機器メーカーはこの3社ですが、かつて
人気を博していた数々のAVメーカーはすでにリングから降りてしまって
います。現在辛うじてがんばっているのがこの3社です。

この苦境がスマートフォンの登場に強く影響されていることはご承知の
通りです。2011年度の日本国内におけるスマートフォン販売台数は4274
万台だったそうです。ものすごい数です。このスマートフォンがAV家電
の仕事を一変させました。

私たちはこれまで様々な場面でそれぞれの機器を使い生活を楽しんでき
ました。居間にあっては大きなテレビ、部屋では卓上テレビ。ステレオ
もラジカセもウォークマンも。ここ10年くらいでも携帯電話やカーナビ、
ワンセグテレビなどが生み出されてきました。各社どのようなシチュエ
ーションに向け、どのような製品を提供してゆくのか。これに凌ぎを削
り、より便利なものを開発し製品化することで市場もビジネスも大きく
してきました。

しかし半導体の発達とデジタル化、そして高速通信網の発達により1つ
の機器があれば概ね足りてしまう環境が整いました。それがスマートフ
ォンです。あるときはPC、あるときはカーナビ、あるときはテレビ、そ
して自宅でドックに挿せばステレオになります。もう様々なシチュエー
ションにおけるそれぞれの機器は必要なくなってしまいました。

私はこのことがデジタルAV家電業不振の真因だと考えています。つまり
今各社が追い込まれている状況は一過性のものではなく、構造的なもの
として捉えなければなりません。高性能で魅力的な商品ができれば売り
上げや利益も伸びてゆくことは間違いありませんが、市場そのものが小
さくなっているのですから今まで通りの大きな体は維持できません。

ソニーは9月に医療機器メーカーのオリンパスと外科用内視鏡分野での
提携を発表しました。提携業務にはデジタルカメラも含まれていました。
そして平井社長は会見で『医療事業の成長を加速させ、新しい柱にした
い。2020年には2000億円くらいのビジネスに育てたい』と語っていまし
た。しかしここ5年間で消えた売上げは2兆円です。2012年に入ってから
はスマートフォンの普及も進み、デジタルAV機器の販売台数は急激に減
少してきているはずです。そういった中で8年後に2000億円を見込むビ
ジネスが会社を支える柱になりうるでしょうか。

1000円を下回った株価はこの時、一時的に1000円台を回復しました。そ
ういった意味で効果はあったのかもしれませんが、エレクトロニクスを
支える柱としてはあまりに心細い、竹串のようなものに見えてしまいま
す。


デジタルAV家電の宿命
 シャープは台湾の最大手EMS鴻海(FOXCONN)からの支援を必要としてい
ます。弱みを握られ追い込まれています。シャープが鴻海を必要として
いるのは鴻海がAppleの仕事を請け負っており、大量の液晶パネルを調
達しているからです。シャープは気の遠くなるようなお金を投じて建設
した最新鋭液晶工場の稼働率を確保したいのです。

デジタルAV機器は半導体とソフトウエアのお化けです。半導体の製造に
は数千億円以上の投資が必要で、しかも日進月歩、価格はあっという間
に何分の一になってしまいます。さらにデバイス間のプロトコルが標準
化されているため常に他社デバイスとの価格競争に晒されます。

2005年にジャスコが32型の液晶テレビを10万円で売り出し話題になりま
した。当時の亀山モデルが34万円でしたから破格の値段です。それから
7年、価格.comで調べると32型の最安値は25000円前後です。下落幅は何
と93%です。亀山工場建設時の投資回収計算にこの状況が含まれていた
とは到底思えません。

皆さんの周りに『内製化すると○○年後にはいまのコストより××円も
安くなり競争力が増します』なんてとぼけた話はありませんか。後発の
投資が先発を追い抜くなんて至難の業です。先発組は日々償却を進める
と同時に効率を高めていっています。お金を稼ぐのではなく、お金を使
うことが自慢の人たち、まさかいないと思いますが如何ですか。

一方ソフトウエアも肥大化を余儀なくされ、数千万行に及ぶものも珍し
くないようです。このソフトウエアの開発とデバッグには一体どれだけ
の人員を必要とするのでしょう。しかもこの人員はモデル数を絞り込ん
でももれに比例して身軽になるようなことはなく、製品を出す限りにおい
て一定以上の人員を必要とします。ソフトウエアのアウトソーシング、
海外拠点の設立などは正に人員の確保と固定費の削減の両立を狙った作
戦にほかなりません。

つまり現在のデジタルAV家電業は超高固定費産業です。数が捌けなけれ
ば商売になりません。シェアーを持つものだけが生き残れる業界です。
そしてひとたび業績を落とし体力を失った会社は飲み込まれてゆきます。

今朝の報道にシャープの早期退職への応募が2960名になったとありまし
た。もともと2000人の募集だったので、皆が先を争って応募した様子が
手にとるように伝わってきます。この構造改革費用として計上された特
別損失は253億円だそうです。さて、一人あたりいくらになりますか。
855万円です。この様に割り増し金の業界相場がどんどん明らかになり
ます。

会社は本当の意味でのリストラができれば生き残れるかもしれませんが
日本人は生き残ることはできません。


会社に残ってなにしようか
 デジタルAV家電を扱う会社は大きな端境期を迎えています。いまある
商品のブラシアップや効率改善を進めても先の展望を開くことはできま
せん。縮小均衡の中で凌いでゆかざるを得ません。売上げに見合う身の
丈に変身し続けることになります。多くの社員を引き連れて、こんどは
あっちに移住しよう、こっちを開墾しようと精力的に働きかけなければ
一族を守ることはできません。また会社の一族として居続けるためには
今いる場所に留まっていることはできませんし、新たな開拓に従軍でき
る者しか残ってはいけないのだと思います。

会社を生かそうとする人、会社で生きようとする人、自分はどう生きよ
うかとする人。他にも様々考え方はあると思いますが、大きくこの三つ
に分けて考えると、会社が残さなくてはいけないのは会社を生かそうと
する人。早々に退散してほしいのは会社の中で生きようとする人です。
自分はどう生きようか考える人にとって会社は自分の価値観に合った現
在を過ごす場所でしかありませんから、会社としては扱いにくいかもし
れません。しかし、最前線で最も勇ましく戦っているのはこういう人達
ではないでしょうか。これまでのリストラではそんな人達から順に会社
を去っていったように思うことがあります。社内を正に自由闊達に歩き
回っていた先輩達。

私のケースについて書き続けていますが、私自信は会社を生かす仕事は
担えないと感じました。縮小均衡の中で採算に合うよう効率化、合理化
を進めることには自信を持っています。しかしそれは当面のことであっ
て、そこにリソースを投入するのは得策ではありません。今のビジネス
は必要最小限の人員で徹底防戦し、バックグラウンドでは新進気鋭の精
鋭部隊を編成し、開発と訓練に邁進しなくてはなりません。既存ビジネ
スの延命を図るような投資を行えば、それは死期を早めることに他なり
ません。

近い将来、『他社の追随を絶対に許さざる境地に独自なる製品』を発売
しなければなりません。そうでなければソニーのエレキはいとも簡単に
消滅するでしょう。Appleを追撃する製品はノートパッドでもスマート
フォンでも雨後の筍のように乱売が始まっています。しかし必要な商品
はそんなものではないはずです。GOカメラの二番煎じも出てきました。
そのカテゴリに新しい価値を入れようとしている企画意図はまさに寒い
商品企画そのものです。そんなものは他にやらせておけばいい。おなじ
相撲を色違いのマワシで取るようなものでしょう。

心の時代を牽引する商品。その商品を明確にイメージすることは私には
できませんでした。私には会社に残るという選択肢はなかったのです。
もし残るとしたらそれは「会社で生きようとする人」に分類されること
を受け容れるということです。そして最も退散してほしいグループに加
わることになります。

自分のことは自分で決めたい。そうできるうちに結論しました。


やっぱり気になる今の状況
 退職して三ヶ月が経過しました。企業年金もすべて清算して会社とは
一切の関係を解消したつもりでした。しかしこのブログは現在も在職し
ながら様々思いを巡らしている知人、友人たちに宛てたものです。金銭
的には切れていますが、人のつながりは積極的に維持したいという気持
ちがブログを書く動機になっていたことは間違いありません。

ブログを読んだ友人たち何人からか「気持ちが整理できた」とか「自分
も同じことを考えていたようだ」などと連絡をもらい、多少でも役立っ
たのかととてもうれしく思っています。

私の退職時にすでにスタートしていた2013年3月末での早期退職プログ
ラムの応募期限はたしか1月末でした。そしてソニーが行う2012年度第3
四半期の業績発表は2月7日に予定されています。第2四半期での発表で
はグループ通期の黒字200億円を据え置いていました。

エレキだけの会社ではありませんが、売り上げの2/3程を占めるエレキ
の業績が最も気になります。そしてそのピークが第3四半期です。ここ
で決着がつきます。

会社が黒字であれば少しは安心できますが、今期も赤字という見込みに
なれば、自助努力での回復が望めない、第三者による外科手術を受けざ
るを得ないのではないでしょうか。建てたばかりの大崎のビル売却の話
もありました。リチウム電池事業売却の話も出ています。でも切り売り
で健康を取り戻すことはできません。やはり新たに活力を生み出す源泉
が必要です。

サムスンが桁違いの好業績を発表しました。売上16兆円、営業利益2.3
兆円というものです。収益の牽引者はスマートフォンとみられています。
一方、日本電子工業会(JEITA)が発表した液晶テレビの国内出荷台数は
昨年比67.5%減、ブルーレイレコーダは56%減、民生機器の総額でも43
%減でした。売れていません。

スマートフォンはIT家電のエースではなくジョーカーです。時々の用途
に応じ、どんな機器にでも変身可能なワイルドカードです。これを超え
る商品がなければ縮小は避けられません。急速にシュリンクしてゆきま
す。レコードがCDになったように。フィルムがデジカメになったように。
あっという間にすべてが塗り替えられてゆくでしょう。

会社を生かそうとする人、自分はどう生きようかと考える人、ぜひぜひ
後悔のないようすべてを前向きに考えて決断してください。

会社を外から見るようになって、また様々な思いが込み上げてきます。
自由闊達だった頃から現在まで。あのときあんなことがあって曲がった
んじゃないだろうかなど。またすこしづつまとめて行こうと思います。

追伸:現在行っている早期退職の応募期限は2月末だそうです。すこし
   安心しました。


役員賞与全額返上
 先日の新聞にソニーの全役員の賞与を全額返上するとの記事が載って
いました。驚きました。ソニーは羅針盤だけでなく操船技術さえも失っ
てしまったのかと。

私の在籍中、いい仕事をしたと評価された人には多くの金銭を支給して
その業績に報いる制度をとっていました。いい仕事というのは年度ごと
に上司に申告した「約束」が達成できたか否かで判断されることになっ
ていました。コミットアンドコンペンセーションといって、約束に対し
それに報いるという意味です。

どこの会社でも期首に年度の計画を立てて仕事を進めてゆくと思います。
今年はここまで頑張ってみよう。リスクもあるが可能性は高い。などと
いった計画です。これは主に上級管理職、事業を統括する本部長とか事
業部長部長級の人たちに課せられた責任です。それを部長級、課長級の
人達が分担し、個々の従業員に個別の目標を立てさせるわけです。

期首に設けた目標との比較で評価する仕組みです。うまくいった部署や
個々の従業員に対し「たいへんよくできました」にはA評価を。「もう
すこしがんばりましょう」にはC評価などをつけて報酬に差をもたせる
仕組みを運用していました。

かつて富士通がこの方式を採り、全員が低い目標を設定したことに上司
が気付かず全員超A評価にせざるを得なくなり破綻した話をきいたこと
があります。

今回の一律返上はひどいですね。業績報告を見なければわかりませんが
エレキが赤字なのは、まあ当然として一律はないでしょう。それぞれの
事業部門が掲げていた目標との比較評価はどうなったのでしょうか。

ソニーに役員ごとの責任範囲、業務分掌はないのでしょうか。エレキだ
けでも多岐にわたり数兆円を商う商売です。うまくいっている分野もあ
れば、昨日の雨でできた水溜まりや去年の洪水で流されてしまった湖に
糸を垂れ、魚を釣ろうとしている部署もあります。

水たまりに糸を垂れろと指示したのはだれですか。

テレビ事業が大赤字だからといって、黒字化は来年3月決算での予定だ
ったのではなかったかと思います。12年度が赤字だっていいじゃないで
すか。13年度に向けた本来の作戦が進んでいるのであれば。

今まで4期にわたる赤字続きにも拘わらず会長に10億円近い報酬を払い
続けてきたソニー。これからはエレキが黒字にならないかぎりエレキの
役員には賞与を払わないんですか。

一律評価ほどモチベーション、やる気を削ぐ管理手法はありません。大
勢がひとつになて事に向かう能動的な組織に於いてリスクに挑戦する人
を失ってゆきます。なにか失敗したら全員に迷惑がかかる。そう責任を
負わせられると「自由闊達」が失われてしまいます。

失敗を恐れず挑戦し続ける団体であってほしい。そう思います。

組織に於ける評価基準はそこから得る所得で生活する人たちのモチベー
ションの要です。がんばって、大きな仕事を任せられるに従い所得が下
がる会社で頑張る人たちがいるでしょうか。

どこを目指しているかの羅針盤を失った上に、多くの船員を乗せたまま
操船方法すら見失ってしまいました。漂流です。

速報では円安とソニーシティー大崎、そしてアメリカ本社ビルの売却で
グループ利益は200億円上積みの400億円になったそうです。ハワードや
中鉢氏の解任、役員賞与返上と、二度と使えない手法の結果で400億円
です。

自由闊達を取り戻さない限りエレクトロニクスでの「ソニー」は存続で
きません。かつてこのままでは「ソニー電気産業株式会社」として普通
の製品を他社とどっこいの価格で売り、生きながらえることしかできな
くなると思っていた時期もありました。でもあの「松下電器産業」です
ら再建に喘いでいます。

さんざん書いてきましたが、いまの家電業界は縮小の一途を辿っていま
す。国内で辛うじて残っているソニー、パナソニック、シャープの3社
は今後の方向性を模索しています。

パナソニックは「脱テレビビジネス」を打ち出し自動車、住宅など店頭
での家電製品販売から大きく舵を切りました。これはパナソニック、以
前のナショナル(松下電器産業)の商売のスタンスをガラ変させるもの
です。国内では大規模タワーマンションの中はすべてパナソニックです。
玄関のピンポンから、IHキッチン、ベランダのないタワーだからこその
ビルトインエアコン、室内ネットワークなど。マンションのゼネコンが
一本電話すれば数百戸の受注が可能になる商売です。

かつて「ナショナルショップ」と呼ばれ最盛期には5万店を超える店舗
数を抱えた街の電気屋さん。もれなく皆さんの街にもあったと思います。
その商売と決別したわけです。販売店が5万店あるということは新商品
の納入先が5万店あるということで、どんな商品であれ5万個を見込ん
だ生産方法と生産原価が保障されていた商売です。量販店の台頭と共に
今まで協力してくれていたフランチャイズのナショナルショップの閉店
が多くを占めるようになったことも方針転換のトリガーになったはずで
す。ナショナルショップからゼネコンへ。

平井一夫社長、出井さんに学びできることを始めないと。出井氏はデジ
タルドリームキッズを標榜しながら何をしたらいいかわからなかった。
でも金融には知見があり、いまはグループの芯柱になっています。
13年度のエレキが赤字なら当然役員報酬は返上ですよね。

魚の居場所がわからないと漁師はできません。


ゴキブリ黒字
 5月9日、ソニーの2012年度決算報告がありました。新聞に大きな見出
しで「ソニー五期ぶり黒字」とあり、声を出して読んだところ、え?、
ゴキブリ?と思わず笑ってしまいました。確かにゴキブリは黒いなあと。

地球最後の日が来て人類が死滅してもゴキブリだけは生き残ると聞いた
ことがありました。ソニーはゴキブリになって生き残るのかも知れない
と思ってしまったためです。

この新聞は読売です。読売はソニーに対していつも辛口な表現を用いた
記事を書きます。理由は判っています。ソニーは読売に広告を出さない
からです。広告を載せる日経や朝日は同情的な記事になります。大切な
スポンサーの悪口は書けませんから。

余談ですが企業が新聞広告を出す際の判断基準に、その新聞の購読者層
があります。どのような人が読んでいるのか。会社役員か、ビジネスマ
ンか、大学関係者か、自営業か等々。購読者の所得層も把握しています。
ソニーは読売新聞を「労働者階級の新聞」と位置付けているようです。
知的階級の人たちが読むのは日本経済新聞と朝日新聞だと。

読売新聞の記者もデスクも「五期ぶり」と書いた時点で「ゴキブリ」が
浮かんだはずです。それでもあえて一面に三段抜きの見出し。これは明
らかに確信犯でしょう。

それはともかく2012年度は430億円もの黒字を出しました。営業利益は
2300億円です。円安の効果があったとしても私の予想をはるかに超えま
した。よく頑張ったものだ、と思ったのも束の間でした。

報告書にも記載がありましたが、利益を押し上げた理由として

①ソニーエリクソンの完全子会社化による繰入 1023億円
②子会社「エムスリー」売却益 1222億円
③ソニーアメリカ本社ビル売却益 655億円
④ソニーシティー大崎ビル売却益 423億円
⑤液晶部門のジャパンディスプレイへの売却益 91億円

が挙げられています。ここまでで3414億円です。

また売り上げも3000億円増えていますが、これもソニーエリクソン社の
子会社化で繰り込まれた額そのものだそうです。2011年度も同じ条件だ
とすると売り上げは実は-2%、1200億円くらい減っているんだと。

なんだ、そうだったのか。二度と使えない方法を駆使しての決算でした。
ゴキブリ黒字と書いた読売の意図はそこにあったのか。

本業(だった?)エレキは1345億円の赤字でした。このために関連役員は
全員賞与を返還させられました。

また来期の見込みも発表されています。

ビデオカメラ 370→ 300万台(-19%)
デジタルカメラ 1700→1350万台(-20%)
パソコン 760→ 750万台(- 1%)
液晶テレビ 1350→1600万台(+19%)
スマートフォン 3300→4200万台(+27%)
ブルーレイ 630→ -万台(表記なし)やめるのか
ゲーム(据置) 1650→1000万台(-39%)
ゲーム(携帯)  700→ 500万台(-29%)
ゲーム(ソフト)2660→3190億円(+20%)

これでエレキは大幅な増収、増益を見込んでいます。グループ全体とし
ては7000億円の増加です。とても楽観的ですね。台数が減っても売上げ
も利益も上がる。それは高くて儲かる商品ばかりが売れることを意味し
ています。なんと楽観的な会社でしょう。

ゴキ楽観的というんでしょうか。

ただこの決算で利益が計上できたことで、2013年度もリストラ費用とし
て500億円が準備されたことはよかったです。エレキを中心に人員削減
するとしています。さてこの500億円で何人を処理するのでしょうか。
でも整理解雇はいったん回避されたんではないでしょうか。

どのような理由にせよ「ゴキブリ黒字」が出たわけですから。


役職定年制度と若手社員の寿命
 2013年度から導入されたという役職定年制度。部長職で55歳、課長職
で53歳と決められたようです。またこの課長職定年は2年後には50歳ま
で引き下げられるとか。

社員としての定年は60歳ですから、部長でも5年、課長だと10年間もの
期間何をして過ごすのでしょうか。役職解任から1年以内に早期退職す
れば割増金がもらえることも併せて制度化されたようなので、要は解任
されたら退職しろとのことでしょうか。

しかし部長、課長といえば現場運営の要です。その職についている人達
は何れも多くの業績を挙げてきた人たちのはず。その人たちを早く辞め
させて、そうでないひとたちを残す。なんか変な感じがしませんか。

ソニーの、少なくともエレキの分野で人々を統括していた管理職の人達
は技術的にも、経験的にも、そして人望も備わっているはずです。他の
カテゴリの銀行や保険など業務そのものは事務的なもので、管理職の仕
事といえば勤怠や予算管理が中心といったものとは大きく異なります。

大手銀行などは以前からこのような制度を持っていて、40歳で支店長に
なれない人は出向を命じられ、その期間も1年から長くて数年で転籍す
るそうです。出向満了後に出向先が受け容れてくれなければそれまでで
す。でもこのスタイルは天下るだけの、そして受け容れてくれる取引先
を持っていることが必要です。

銀行と取引先の関係は慣習としてこの制度を暗黙知としているのかも知
れません。受け容れを断ると貸付条件が厳しくなってしまう等のペナル
ティーを恐れる意識も実はあるのかもしれません

何年も頑張って、実力つけて、現場を牽引してきた正に「人財」を年齢
という基準だけでいともあっさり切り捨ててしまう。理解に苦しみます。
かつてソニーには専門職制度がありました。今はありません。管理職、
統括職を離れた人たちに居場所はないのでしょう。

しかしこの制度がもたらす害は有能なベテランの切り捨てだけに留まり
ません。いえ、それ以上に大きな害は若手社員の寿命を短くし、ひいて
は会社の老化を早めてしまう点です。

部長職は言うに及ばず、課長職といえどもその道程は長く険しい道のり
です。入社して、リーダー格に上がり、さらに係長格、管理職と登って
初めて課長職になる権利が生まれます。そしてそれら各々の推薦を受け
るにはその直近数年間の人事考課が優れていなければなりません。あた
りまえのことです。

つまり課長の定年50歳から逆算することで、かなり早い時期に自分自身
の将来が見えてしまうことになります。

例えば。課長定年50歳とすると課長にさせてもらえる年齢はまあ45歳く
らいでしょう。その直前の1~2年は人事考課が高いことが要求されます。
昇格してすぐ高い評価はもらえないでしょうから、40歳頃には管理職格
になっている必要があります。すると係長格には35歳といったところで、
さらにリーダー格は30~32歳くらいと。

二階級特進などのパスがなければ、30代半ばでもう昇進は一切見込めな
い人達がでてきてしまいます。専門職の道がない以上、管理職になって
昇格を続けなければ所得は上がりません。後輩に抜かれ定年まで下働き
です。それでも頑張れる社員が何人いるでしょう。気力が萎え、若い力
さえ発揮できなくなるでしょう。

30代半ばといえば最前線で戦う最強の戦闘員たちです。そこから円熟味
を増してゆき、バランス感覚を磨き、会社を支える柱となってゆくので
す。その時期に希望を失わせるような制度です。

逆に節目、節目で着実に推薦を得るため、上司のご機嫌ばかり取る様な
軟弱な連中が出世する会社になってしまうのではないでしょうか。

もったいない。ほんとうにもったいない。全員を活かす経営の知恵はな
いのでしょうか。人件費を抑える方法は他にいくらでもあるでしょう。

気骨がある。一発逆転を夢見る、大器晩成。そんな技術者の理想工場は
跡形もなく潰えてしまったのかと思うと残念でなりません。


大丈夫なんだろうか
 久しぶりに会社にいたころのメンバーに誘われて宴会に参加しました。
やっぱり楽しい。今から15年ほど前のメンバーたちでした。多少という
以上に薄くなったおじさんや、かっぷくのよくなったお譲さんたちとの
楽しい時間でした。

時間が経っても友達は当時から変わっていませんでした。しかしだれもが
私が辞めたのと同じ不安を持っているようでした。このまま持ちこたえら
れるのかなあなどと。

ふと気になり2013年度第1四半期の業績を見てみました。ニュースにも
なんにもならなかったので発表からすでに一カ月経過した今頃になって
第1四半期、4月~6月までの業績報告を見てみることにしました。

何にも進歩していませんでした。確かに数値的には売上げ、営業利益共
に昨年同期比で向上していました。税引利益は4倍の463億円に膨らんで
いました。牽引役はスマートフォンで全体の営業利益364億円の内約8割、
341億円を稼ぎました。とはいえ為替による追い風売上げが624億円との
こと。なんだ、それだけのことか。

これまでのドル箱デジカメやビデオカメラは円安追い風300億円の売上
げをもってしても200億円の減収、45億円の減益です。ゲームもテレビ
もデバイスも為替の追い風を外せば減収、減益でした。そりゃそうでし
ょう。同じ事を続けていれば同じ結果にしか至りません。

さらに2013年度末の見通しではビデオカメラ、デジタルカメラ、パソコ
ン、液晶テレビと5月見通しからの下方修正が連なっています。スマホ
だけが頼りの経営です。

ところが数日前、NTT-DocomoがiPhoneの発売を決めました。これまでの
ソニー&サムスンのツートップ戦略に見切りをつけSoftbank、auと同じ
土俵で戦うことに。エクスぺリアの運命や如何に。

商売は右肩下がりの円安だのみ。自力での改善はなにもありません。社
内の雰囲気、職場の潜在的ストレスがどれだけ悪化しているか想像に難
くありません。システム系子会社の売却も報告されています。まだ売れ
るものがあったんだ。ゴーン氏が来たころの日産が銀座四丁目の日産ギ
ャラリー(本社)を売却したように、売り物はソニービルしかないと思っ
ていた私は素人でした。

でも今でも会社に残っていたら間違いなく心が壊れていたでしょう。毎
日、毎日この衰退に接していて、策の見えない職場に居て、具体的指示
のないなかでの生活は大きなストレスをもたらしていたとおもいます。

会社を辞めると不安が大きいでしょう、と質問されたことがありました。
でもそれは違います。会社を辞めて、不安に思うことは一つだけです。
自力で生活できるんだろうか。それだけです。

でも会社にいたころは夥しい様々な不安が渦巻いていました。0.1秒毎
に入れ代わり立ち代わり脳と心を支配していました。考えを整理する時
間を与えないように仕組まれているかのようでした。

やっぱり辞めてよかった。

今期計上してある500億円。これ最後のチャンスかもしれません。




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